入門用ディスク
ロマン派・20世紀 /音楽史的な理解のために

工事中

◆1 極めつきの名演で聴くフランクのオルガン作品

フランク: オルガン作品集/ジャンヌ・ドゥメシュ (パリ、マドレーヌ教会)
César Franck : Intégrale de l'œuvres pour orgue
Jeanne Demessieux

festivo (NL) FECD 155-156 (2-CD set)
- Rec: 1959-Jul
●数あるフランクのイチオシ名盤。解釈そのものではなく、フレーズの隈取りとテ ンポの取り方の巧妙さに特徴がある。中でも「交響的大作」とコラール第2番は見 事だ。ドゥメシュはフランクを窮めて即物的に扱う。特になかなか解決しない、 漠としがちな和声の姿態変容を明快に捉える。決して表現的な濃さはないが、フ ランクに纏わりつきがちな靄が一掃され、音楽も無駄を語ることがない。オルガ ン操縦術がこれほど見事なフランクには、滅多にお耳にかかれないだろう。 Fugetzu ☆☆1/2 ('03.10.26 修正)Toku ☆☆1/2 V

◆2 フランス近代オルガン音楽 (一つの頂点)

デュリュフレ: オルガン作品全集/オリヴィエ・ラトリ
Duruflé - Integrale de l'Œuvre pour Orgue / Olivier Latry
BNL (F) 112508

●デュルフレを聴く上では外せない1盤。若きラトリが、デュルフレ縁の エチエンヌ=デュ=モンで意欲的に取り組んだ録音で、ラトリの中でもベストと言える録音である。 ラトリの高度なテクニックが味わえる上でも、やはり「組曲」−特にトッカータの出来ばえは、数ある同曲の録音中、最も優れたものの一つである。('03.09.20 修正) Fugetzu ☆☆ ('03.08.28 修正) ; Toku ☆☆

◆3 オルガンならではの音色表現と音楽性に注目

グレート・ヨーロピアン・オーガン No.53 カリオ教会/キース・ジョン
Great European Organs No. 53 - Keith John
plays the Organ of the Kallio Church, Helsinki, Finland

Priory (UK) PRCD 638 - Rec: 1996-Feb
●ジョンの技術・音楽性両方の実力に驚かされる1枚。リストとシェーンベルクが 特筆もの。リストは通常のオルガン版ではなく敢えてピアノ版からの編曲である。しかし、風琴的表現力をピアニスティックな特質へ「翻訳」するものに非ず、むしろ大袈裟な慟哭と浄福劇に終わりやすい原曲を根底から逆照射するのであり、淡泊だが密度の濃さに改めて驚かされる。同じ意味で、駄作と思われてきたシェーンベルクも同様。豊かで適切な音色と全ての音が克明に聞こえる演奏により、初めて真価を問うたといえよう。聴くほどに味わい深い。Fugetzu ☆☆ ;  ●カリオ教会のオルガンは、フィンランド初のフランス・ロマン派様式。 聴きやすいモーツァルトや精緻なブラームスの編曲に、ロマン派・20世紀の 重要作品を組み合わせたアルバム。ここでも音色の変化が聴き所の一つ。Toku ☆☆ ('03.10.18 修正)   BBC Music Magazine : 「驚くほど多彩な音色 ・ 万華鏡のようなレジストレーション」、"(The Kallio Church organ is) capable, in the hands of an artist with the ingenuity of Keith John, of an astonishing variety of tone colours and blends. John's variations of registration are kaleidoscopic and his handling of this whole exploration of variation form is masterly."

◆4 現代音楽が面白いわけ

ノートルダムの現代オルガン/クセナキス、シェーヌ、シャプレ (パリ。ノートルダム大聖堂)
The contemporary organ at Notre-Dame de Paris - XENAKIS, CHAYNES, CHAPELET / Francis Chapelet, etc.
Solstice (F) SOCD 192

●クセナキス、シェーヌ、シャプレの作品・即興をまとめた1枚。不思議なこと に一番精細を放つのは、シャプレの火山に寄せた即興演奏だ。前2者はクラスタの威容に直撃される妙味はあるが、オルガンという楽器の必然性をとことん感じないのに対し、火山活動を擬した音の生態的変容でありながら、クラスタを含め、シャプレは遙かに「オルガン音楽としての」生と意味とを獲得している。 火山に魅せられた風琴奏者シャプレの録音の中で、異彩を放つ1枚! Fugetzu 1/2 ; ●得意と思われたイベリア古典でのシャプレは、'70年代以降マンネリ化。だが、この録音を聴けば合点がいくかもしれない。ここに収められた演奏は商業的録音を前提としたものではない。だからこそ(?)、ほんとうにシャプレが演りたい音楽はこれだったのだと納得できるほど、音楽に自発性がある。オルガンという楽器から、火山の噴火やそれにまつわる情景をこれほど面白く、また感動的に描き出せるとは驚きである。Toku ☆☆

◆5 戦後の定番 (東欧の貢献 ... 渋い和声と明解で多様なリズム)

エーベン 〜 オルガン音楽 1 /シアゲル (ストックホルム、ヘドゥヴィグ・エレオノラ教会)
Petr Eben - Organ Music 1 (Job / Laudes/ Hommage à Buxtehude)
Halgeir Schiager
/ Hedvig Eleonora Kyrkan, Stockholm
Hyperion (UK) CDA 67195

●ペーテル・エーベンが破格に面白いと理解できる名盤である。シアゲルの演奏は、 さすがに苦渋に満ちた重圧さには薄いものの、逆に明快・冷徹にその晦渋さを織 り上げることで、エーベンのフレームを逆転的に摘出したといえよう。就中、リ ズム処理をパーカッシブに磨くことで、エーベンの隠れがちな重要な要素が理解 でき、まさに目から鱗であった。 Fugetzu ☆☆ ('03.09.07 修正) ;  ●前衛以後の最も重要なオルガン作曲家の一人がチェコのエーベンだ。ノルウェーのオルガニスト、シアゲルの演奏が抜群に良い。作品のあらゆる構成部分に対して、常に的確なテンポが与えられており、実に見通しが良い。エーベンの音楽の面白さは、渋い和声と旋律に重畳したリズムの多様性ではないかと思う。 また、オルガンを打楽器に見立てた扱い方も、彼が新たに切り拓いた奏法であった。作品の晦渋さは シアゲルの明晰な演奏により姿を変え、スケールの大きい音楽として見事に再現される。 アルバムのタイトルとなっている Job が圧巻。旧約聖書ヨブ記によるこの作品は、オルガンにおける標題音楽の傑作。シアゲルの演奏は見事という他はない。第2集 も遜色ないが、第3集は期待外れ。Toku ☆☆1/2  このCDを購入 第2集を購入

◆6 作品演奏よりも即興が重要である時

ピエール・コシュロー/ノートルダムのオルガニスト
PIERRE COCHEREAU : l'organiste de Notre-Dame
Solstice (F) SOCD 94/96 (3-CD set)

●コシュローのノートルダムでの即興録音は、かなりの量に上ると聞いているが、 これまでリリースされていた録音が何だったのか、と言いたくなるような凄絶な音楽の記録となっている。74年の「スケルツォ・サンフォニック」は、まるで輝 きが繚乱する生命体。3枚目のミサでの即興も、深淵を抉る力だけではなく、何か予兆的ともいえる広大な包容力ある演奏。このボックスは、コシュローのみならず、即興演奏史に深々と爪痕を残す記録といえよう。 Fugetzu ☆☆☆ V ; ●何の躊躇いもなく、「ここにはオルガン録音史上最も重要な記録となった演奏が幾つも含まれている」と言うことが出来る。 1955年から84までパリ・ノートルダム寺院のオルガニストを務めたコシュローが遺(のこ)した即興録音は多いが、パンスメイユが選曲したおかげで、今までに日の目を見たものと隔絶して優れた演奏が含まれている。1曲選ぶなら2枚目最後のスケルツォ・サンフォニックだろう。だが、(ポンピドー大統領の葬儀を含む)ノートルダムのミサや晩祷の記録から選ばれた3枚目全21曲を通して聴くなら、他に類を見ない衝撃的な演奏が次々と現れ、本当の凄さが分かる。それにしても、芸術の都パリではこんな途方もない音楽が、毎日曜のようにタダで聴けたのだ。それを追体験できる我々は、コシュローを説得して、ノートルダムのロフトで16年近く毎日曜のようにテープレコーダーを回し続けたエンジニアのカルブ(FY-Solstice レーベルのオーナー)に感謝せねばならない。なお、作品演奏が中心の1枚目は特筆すべきものではない。('03.10.24 修正) Toku ☆☆☆ V



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Last updated: 2003. 9. 19 ... Compiled by Toku <cd100@orgel.com> .


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