管風琴音盤百選 (トップページ)

時代・ジャンル別 一覧
(1) 古典 (2) ロマン派・近代・戦後 (3) その他
01 イベリア古典
02 フランス:古典
03 北ドイツ古典
04 ブクステフーデ
05 大バッハ
05b 古典派
06 フランス:ロマン派
07 フランス:近代〜戦後
08 ドイツ・ロマン派〜近代
09 北欧:異端と正統?
10 イギリス:旋律と叙情
11 前衛とその後
12 トランスクリプション
13 即興の名手
14 フォックスのカリスマ
15 ヴィルトゥオーソの系譜
16 いわゆる銘器
17 協奏曲 など
18 Non-Classical


12) トランスクリプション(ルメア、T・マレー)

トランスクライバー(編曲者)の芸術/トーマス・マレイ (イェール大学、ウールズィ・ホール)
The Transcriber's Art / Thomas Murray
Gothic (USA) CD 49054

●トランスクリプションものは、どうも横目で見ているところがあったが、演奏そのものこそが、原曲という桎梏から聞き手を解放すると実感。音色の豊かさと技量、弱音での表情の美しさ、また衒いのない清澄・精妙な音楽。まさに名演。原曲と比べると、非常にストイックな印象があるが、原曲が「本然的」に持つ構造、浪漫や繊細な感興が非常によく出ており、「マ・メール・ロワ」など、管弦楽より魅惑的なイメエジだ。 Fugetzu ☆☆ ; ●E.M.スキナー作、北米随一のシンフォニックオルガンを 駆使してトーマス・マレーが余裕たっぷりに音楽的な演奏を聴かせる。小品を中心にクラシックの名曲を集めたレパートリーだが、 いずれもオリジナルの楽器(編成)では聴くことのできない音色や、オルガンならではのデュナーミクによる表現に 感心させられる。気楽に聴けると同時に、繰り返して聴くほどにますます大オルガンならではの面白さがわかる名演だ。 編曲の方がつまらないオリジナル演奏よりは余程面白いという好見本だ。 Toku ☆☆  このCDを購入

バッハ:ヴィヴァルディによる協奏曲/ジャン・ギユー (チューリッヒ:グロスミュンスター 他)
Bach - Concertos d'après Vivaldi / Jean Guillou
Philips (F) 454 653-2 - Rec:1968-Apr

●バッハのソロ協奏曲集でこれほど面白い録音は他にない。特に圧巻は、本来チェンバロ用に編曲されたBWV 971だろう。聊かギユーが手を加えているが、これほど直進的な躍動感に満ち、切れ味にすぐれた演奏を聴いてしまうと、原曲がこれではないかという心持ちにさえなる。 Fugetzu ☆☆ V ; ●バッハこそはオルガン編曲の元祖であろう!  オルガンおよびチェンバロ用に編曲されたヴィヴァルディの合奏協奏曲の素晴らしくキレの良い演奏で、 これはオリジナルの編成では絶対に味わえないであろうスリリングなものだろう。 初期のギユーを代表する名録音。CDは音が硬い。 Toku 1/2 V

トッカータ/キース・ジョン
Toccata!
Keith John plays the Organ of St Mary's, Woodford

Priory (UK) PRCD 002 - Rec:1987-May

●ジョンは、一聴、ギユーを喚起するものの、さらにクール。少しも脂ぎったところがなく、全体 きっぱり醒めた音楽になっている。特に、透けて見えるような音響と、少しも曖昧さを許さぬ 緻密なアーチキュレーションに統率され、オルガンらしからぬ?感触すらある。この録音で最も見事なのは、 ラフマニノフ〜ジョン編のパルティータだろう。Fugetzu ☆☆ ; ●ギユーやハイラーの作品も弾いているが、ここではバッハのヴァイオリン・パルティータが圧倒的名演だ。バッハの強靱な骨格にラフマニノフの豊饒な和声を適応すれば、これはピアノと言うよりは寧ろオルガンにこそ相応しい音楽になる。最初の日に十回以上繰り返して聴いてしまった。 Toku ☆☆1/2 ('03.10.18 修正)

リズミック・エナジー/キース・ジョン
Rhythmic Energy - I
Keith John plays the Organ of the Hallgrimskirkja, Reykjavik

Priory (UK) PRCD 532 - Rec: 1995-Feb/Mar

●ジョンの面白さは、緻密だが肩のこらない音楽表現と精緻な風琴演奏技術の見事な止揚にあり、風琴奏者として奇跡的な均衡の上に成り立つ。彼が自身の編曲に拘泥する理由もそこにあると思う。特に楽器の音色パレットを豊かにかつ全く適切に使える音感覚、また混濁なく全ての楽音を克明に聞かせるアーティキュレーションなど、聴く者を飽きさせることはない。このチャイコフスキーやプロコフィエフは、面白いだけではなく、聞こえない音が全くないという驚異の演奏だ。風琴演奏の極北とも言えるジョンを聴くべし。 Fugetzu ☆☆ ;  ●レイキャビクの街を見下ろすアイスランド最大の教会に設置(1992年)された大型オルガンを使用。 ジョンの編曲演奏による「くるみ割り人形」は、現代オルガンの音色可能性を極限まで追求した名演。 通常のオルガン演奏とは隔絶しているが、確固とした合理性に裏付けられたものであることは言うまでもない。トランスクリプションが、充実したオルガン音楽を求めた結果であることを雄弁に示す一枚。 Toku ☆☆1/2 ('03.10.18 修正)

ホルスト:惑星/ピーター・サイクス (ジラード・カレッジ、E.M.スキナー)
Holst: The Planets / Peter Sykes
Raven (USA) OAR-380 - Rec:1995-Oct

●オルガンによる「惑星」編曲は、下手をすると、虚仮おどしで劣悪な趣味を露呈しかねない陥穽と背中合わせにある。 だが、サイクスの録音は、意地悪な聴き手の苦笑いを誘発することはない。 ジラード・オルガンの豊かな音響を活かしながら、大きいがきめ細かな空間画を描いていくようだ。 オルガン編曲の優劣は、オリジナルとの対比の可否よりも、 原曲の範型を忘れ、楽器と音響の「相応しさ」に耳を傾けるべきと考えさせられる1枚。Fugetzu ☆V ; Toku ☆ V  このCDを購入


13) 即興の名手 (トゥルヌミール、コシュロー、...)

ピエール・コシュロー/ノートルダムのオルガニスト
PIERRE COCHEREAU : l'organiste de Notre-Dame
Solstice (F) SOCD 94/96 (3-CD set)

●コシュローのノートルダムでの即興録音は、かなりの量に上ると聞いているが、 これまでリリースされていた録音が何だったのか、と言いたくなるような凄絶な音楽の記録となっている。74年の「スケルツォ・サンフォニック」は、まるで輝 きが繚乱する生命体。3枚目のミサでの即興も、深淵を抉る力だけではなく、何か予兆的ともいえる広大な包容力ある演奏。このボックスは、コシュローのみならず、即興演奏史に深々と爪痕を残す記録といえよう。 Fugetzu ☆☆☆ V ; ●何の躊躇いもなく、「ここにはオルガン録音史上最も重要な記録となった演奏が幾つも含まれている」と言うことが出来る。 1955年から84までパリ・ノートルダム寺院のオルガニストを務めたコシュローが遺(のこ)した即興録音は多いが、パンスメイユが選曲したおかげで、今までに日の目を見たものと隔絶して優れた演奏が含まれている。1曲選ぶなら2枚目最後のスケルツォ・サンフォニックだろう。だが、(ポンピドー大統領の葬儀を含む)ノートルダムのミサや晩祷の記録から選ばれた3枚目全21曲を通して聴くなら、他に類を見ない衝撃的な演奏が次々と現れ、本当の凄さが分かる。それにしても、芸術の都パリではこんな途方もない音楽が、毎日曜のようにタダで聴けたのだ。それを追体験できる我々は、コシュローを説得して、ノートルダムのロフトで16年近く毎日曜のようにテープレコーダーを回し続けたエンジニアのカルブ(FY-Solstice レーベルのオーナー)に感謝せねばならない。なお、作品演奏が中心の1枚目は特筆すべきものではない。('03.10.24 修正) Toku ☆☆☆ V

ピエール・コシュロー/1969年夏の即興
PIERRE COCHEREAU : 12 improvisations inédites (1969)
Solstice (F) SOCD 200/1

●69年夏、コシュローが可搬型ポジティフでツァーを行った記録。彼の音楽性が、決して大オルガン固有の音響に支配されたものだけではなく、小オルガンでも自己の音楽表現手段を確実に浸透できたことがはっきりわかる。教会での分厚く痛々しいクラスタがなくなった分、スポルティフな快走、甘き夢想など、彼の多様な即興の骨格が浮かび上がり、それらが綺羅星の如く鏤められた1枚。 Fugetzu ☆☆ ;  ●日曜日にはパリのノートルダム大聖堂でオルガニストを務め、週日は(ル・マンや ニースの)音楽院長としての職務をこなし、休暇には南仏の小村から アメリカの大都市にいたるまで精力的にコンサートを行った演奏家、それがコシュローの持つ 顔であった。 知る人ぞ知るフランスのオルガン製作者アルトマンは 1962年、 彼のために 12ストップの小型オルガンを製作した。 これをトレーラーに積んで南仏一帯の小教会、あるいは、町や保養地の集会場などに赴いて 演奏し、オルガン音楽の普及に務めた。 これは 1969年夏に南フランス一帯で行われた一連の演奏から、12の即興演奏を 集めたもの。 聴衆を身近にしての演奏であるためか、概して自発的でエクサイティングな音楽を聴かせる。 即興のテーマには民謡その他世俗的な旋律を使った、変奏曲形式の即興が主体。 クラシック音楽らしくない、強いて言えばジャジーな和声もサロン的な雰囲気を醸し出すことに 寄与しているが、この辺りもノートルダムでの演奏とは、ややニュアンスが異なるように思える。 冒頭のトラックの録音などは残響がゼロに近いデッドな音響だが、全く違和感がないのは 音楽が充実している しるし だとも言えよう。 Toku ☆☆  (02.10.19 up)

ピエール・コシュロー/ケルン大聖堂のオルガンを弾く
Pierre Cochereau spielt die Orgel im Kölner Dom
Motette (D) CD 12611

(1972年5月30日、ケルン大聖堂におけるコンサート・ライヴ)

●作品演奏と長大な即興からなるコシュローのリサイタル録音。デュプレの暗さを伴わない厭世性、メシアンでの耳からはみ出すほど重層した和声のエロスも味わい深いが、交響曲形式による即興がやはりイチオシだろう。主題を明快・多彩に展開・再現させながら、まさに「コシュロー的」音響を介し、一貫して調性的で形式性に遊んだ即興である。特に2楽章では69年夏の小型オルガンによる即興の幾つかを、また3楽章では74年の「スケルツォ・サンフォニック」を彷彿させる。コシュローの抽出しからは、実に多くの音楽が引き出され、加えて奔放かつ高い集中力を有しながら、音楽は生々しい呼吸に満ち溢れる。 Fugetzu ☆☆ V   ●コシュローによるケルン大聖堂での貴重な記録。 最後のトラックに収められている交響曲形式で画かれた即興演奏に注目。 この驚くべき壮大な表現による音楽は、19世紀後半のフランス交響楽派に見られた冗長的なものとは違い、真のオルガン交響曲の具現化を 思わせるほどの感動的な内容に満ち溢れている。コシュローの高い音楽 性を今まで以上に眺望することが可能な1枚。 Hiro ☆☆☆ V   ●"Veni Creator Spiritus" (来たれ、創造者なる聖霊よ) に基づく交響曲形式4楽章の即興演奏後半に注目。第3楽章スケルツォで漸くエンジン全開となリ、フィナーレまで持続する。霊感を得るとやはり凄い。冒頭のデュプレとメシアンは付け足し。('04.01.06 修正) Toku ☆☆

ラングレ:グレゴリア聖歌に基づく即興演奏 1986-87 (パリ、聖クロチルド)
Jean Langlais aux Grandes Orgues de la Basilique Sainte-Clotilde à Paris - Improvisations sur des Thèmes Gregoriens enregistrées en 1986 - 1987
festivo (NL) 6951 842

●ラングレ最後期のグレゴリアンに基づく即興演奏集。これほど複雑かつ濃醇な即興も珍しい。ラングレの音楽性を色濃く湛えた見事な即興だが、進行の中で次に予想される和声やパッセージへの展開がどんどん裏切られ、高度に知的なジャズの即興すら彷彿させる。オルガンという楽器の性質を根底的に捉えながらも、論理的な直線性から乖離し、円環的/循環的な拡張的進行とでもいえるような、不思議な時間感覚に覆われている。 Fugetzu ☆☆ ; ●フランスの伝統である、作曲者=オルガニスト=即興演奏家の伝統を担う音楽家として、ラングレが残した足跡は大きい。また、優れた教育者でもあった。録音はかなりあるが、これらは'86年春から演奏活動ができなくなる直前の'87年1月の間のミサにおける即興演奏。デジタル録音になって、フォルテシモ部分の音色が崩れずに聴けるようになったお陰もあるが、収録されている5つ全ての演奏において、冗長さがあまりない。これほど完成度の高い音楽的演奏は、トゥルヌミールの後に記録されたオルガン即興の頂点と言えよう。コシュローの即興がいかに音楽的であろうとも、ラングレはあくまでも 「オルガン的」 だ。もともと彼の個性は強烈だが、これらの演奏が放つ精神的パワーにはデモニックな説得力があり、その複雑な音楽は難解ではないにせよ安易に聞き流せるものではない。 Toku ☆☆☆

ギユー:即興演奏の技術 (various)
The Art of Improvisation / Jean Guillou, Organ
Dorian (USA) DOR-90101

●ギユーの即興録音の中でダントツなのがこれ。4ヶ所での即興録音を拾遺した ものだが、どの即興も峻烈かつ複雑な音響、知的かつ劇的さも有する展開に溢れ、 音響・音楽ともにギユーの骨頂を遺憾なく発揮した瞠目すべき内容ばかり。現代のオルガン即興演奏の ひとつの頂点をなすものと評価したい。 Fugetzu ☆☆ V ;  ●1987〜1990年、パリ、アルプス山中、チューリッヒ、ニューヨークの4個所でのギユーの録音から 彼自らがピックアップした即興演奏のコンピレーション。"Jubile" と題された冒頭のトラックにまず度肝を抜かれるが、ここにはおよそ中庸の演奏はない。 Dorianレーベルに残したギユーの録音の中で特に興味深く、また彼の真骨頂を示す1枚。 初期フィリップスでの即興と比較して表現力が広がるとともに、劇的な方向への傾斜も強まっている。 Toku ☆☆1/2 V  このCDを購入

ロビヤール:4つの即興演奏 (サン・ベルトラン・ドゥ・コマンジュ、リヨン:サンフランソワ・ドゥ・サール、他)
Quatre improvisations de LOUIS ROBILLIARD
Arion (F) ARN 38671 (LP)
(廃)
●即興録音の難しさは、オルガニスト本人の最良のものがその時に引き出せるかどうか、という偶有性が重要な要件だ。 だが、それ以上にオルガニストが何時如何なる場合でも、己が本質を演奏に現出させうる必然性がなくては叶わぬこと。 ロビヤールの即興は、外面的形態や技能面よりも、演奏者本人の思弁的内奥への意識遡及が、呼吸のように自然に現れているところが興味深い。 Fugetzu 1/2 ('03.09.07 修正) ;  Toku ☆☆ V

オルゲル・ジャズ・インプロヴィザシオン/ダフィット・ティム (St. Nikolai zu Bad Liebenwerda)
Orgel Jazz Improvisation / David Timm
Raum Klang (D) RK9711

●これは即興の一環として推す1枚である。パイプオルガンで ジャズを演奏する意義を求めても無駄。スタンダードも収録されているが、あくまで彩りとして捉え たい。荘重だが鈍重なパイプオルガンという巨大楽器で、ティムは即興を縦糸とし、ジャズを横糸として楽器操縦、音楽の 生命線ギリギリまでバランスよく織りなす。生々しい肉声の如きインストゥルメンタル・ジャズの感覚とは違い、 マニピュレートで組み立てていく即興の中にジャズが脈打つ、という点が面白い。 Fugetzu ☆ ;  ●これは素晴らしく「生きの良い」演奏だ。第一印象は、オルガンという無機的な楽器を自家薬籠中のものとしている ライプツィヒの若手、ティムの初々しさ、清々しさであろう。このような観点から評価できるオルガン録音は少ない。 (後日談: 2001年9月、武蔵野市の招きで来日。 ジャジーな即興はもとより、後期ロマン派風の濃厚な和声に彩られた4楽章の交響曲などを披露した。録音より、生で聴く方が遙かに楽しめた。) Toku ☆1/2

ピエール・パンスマイユ/オルガン即興演奏 (モンブリソン、ノートルダム・デスペランス)
Pierre Pincemaille: Improvisations on the Organ
Pierre Verany (F) PV790111

●最近は編曲もので名を馳せるパンスメイユの音楽活動初期の即興録音。その才気 もさることながら、落とし込みの明快な即興演奏のため、少々作られた感もなくはない。が、知性と力強さとが 程よくブレンドされている。しかも、最近の潮流からは考えにくい、調性に拘った即興ということも、逆に その意欲的な姿勢として高く評価されよう。 Fugetzu ;  ●20世紀後半のフランスのオルガニストの中でも特に即興演奏を得意とするのが、このパンスマイユである。 やや控え目の個性ではあるが、今日ではフランスでもマイナーな 存在となったオルガン即興の録音として注目できる1枚。なお、調性の明瞭な即興を破綻なく行うのは意外と難しいものである。 Toku ☆

芽生える魂/ナジ・ハキムの即興演奏
L'âme en Bourgeon (Hommage à Olivier Messiaen) / Improvisations of Naji Hakim
on poems by Cécile Sauvage. Narrator: Catherine Salviat. Concert at La Trinité.
Rejoyce (F) JOYCLASSIC 004     (Rec: 1998-Dec)

●メシアンの母セシル・ソバージュの詩『芽生える魂』の朗読とハキムの即興。 オルガンと朗読のコラボレーションは、オルガンの豊穣な音色が表現的に奏効し面白い内容の録音が多いが、これはその中でも出色。メシアン自身による録音もあるが、即興における演奏内容は格段にハキムの方が面白い。詩の感興表現の自在さと閃きの豊かさ、音のパレットの広大さ、どれを取っても素晴らしい内容で、ハキムの録音の中でも精彩を放つ1枚。Fugetzu ☆☆1/2 ('03.09.07 修正) ;  ●ハキムは即興を得意とするが、これはその中でも格別霊感に満ちた演奏。本人から聞いたところでは、 この録音の直前、彼はひどい偏頭痛の発作に襲われていたという。 Toku ☆☆  ('03. 9.07 up)


14) ヴァージル・フォックスのカリスマ

ヴァージル・フォックスの芸術 Vol. 2 (ニューヨーク、リヴァーサイド教会 [エオリアン=スキナー])
THE ART OF VIRGIL FOX - Volume II
EMI Classics (USA) 7243 5 65913 2 5

●フォックスのアクの強さは、正直、苦手でもあった。しかし、憑依したかの如き 熾烈な集中力を持つ一方で、とろけるほど美しい歌心を表現できる演奏家でもある。このアルバムは 古典から現代までの小品を集めた録音だが、美しいながらも何と血潮の濃い音楽になっていることか! 少々 過剰ともいえる表現性は、しかし彼だけしかなし得ない形で、最も自然な音楽の流れを作り出していることがわかるだろう。 Fugetzu ☆☆ ;  ●フォックスの死後20年が経過したが、このCDを聴いて改めてその偉大さを認識した。 彼の演奏には即興性は殆ど感じられず、一見「音楽的」とは言い難いところがある。 そもそも近代的なオルガンはその究極の発達の結果、あまりにも操作が複雑でそれ自体が極めて非音楽的な存在になった。 その楽器を彼は、完全に自らの身体の一部として操るのである。 収録されている曲の大半は、せいぜい佳作と言えるほどの通俗的な音楽だ。 それが、あたかも錬金術のごとく、有機的に統合された巨大音楽構築物にメタモルフォーゼされる様は、オルガン演奏では他に例がない。 それを支えるルバートとクレッシェンディが見事だ。先入観なしに、しかし集中して聴いて欲しい。楽器の存在を完全に忘れるだろう。 Toku ☆☆☆  このCDを購入


Vol. I も同様に優れている。どちらを聴くか、両方取るか、まずは曲目で決めてもいいだろう。 Toku ☆☆1/2

Vol. III は対照的に、フランス・ロマン派や近代のオリジナル作品が中心を主体に聴ける。圧倒的な演奏の強度。 Toku ☆☆
 [2004年6月現在、Amazon.jpでは在庫切れ]

なお、3枚とも Amazonで 最初の5曲の冒頭を試聴できる。

15) ヴィルトゥオーソの系譜 - ルメア、ギユー、ニューマン、カーリー、ハキム

ジャンヌ・ドゥメシュ : Vol. 2 (パリ、マドレーヌ教会)
Jeanne Demessieux, Vol. II
festivo (NL) FECD 132
    - Rec: 1958-Jul
− このCDは 2000年末で製造中止になりました −
●ドゥメシュの異形な音楽のフォーム変成例として、この盤ではモーツァルトの アダージョとフーガを挙げたい。スタッカート気味に、不協和音を悉(ことごと)く 大胆に衝突させつつ進み、かくもデモーニッシュな音楽かと唖然とした。この 破天荒さは、先のヴィドールと根元は同一だろう。対蹠(たいせき)的に バッハは、余りにも淡々と弾く。こうした極端な乖離もドゥメシュの魅力でもある。('03.08.07 修正) Fugetzu 1/2 ('03.11.23 修正)Toku ☆☆


オルガン音楽/アンソニー・ニューマン (various)
Music for Organ / Anthony Newman
Columbia (USA) M31127 (LP)
(廃)
●彼のオルガン録音の中で、最もバーチュオーゾ的面目躍如の1枚。中でも、フランクのコラール第2・3番とリストは快演。彼のオルガンは、超速的スピードにも拘わらず、ペダル音をベースとしたピラミッド・バランスが、全く揺るがないのは不思議なほどだ。特にフランクの第 3 番コラールは、ピアニスチックな旋律線の絡みが見事に引き出される。リストも同様で、ピアノ編曲版の無闇なトリルを聴かなくとも、十分にピアノ版的味わいが楽しめる。 Fugetzu ☆☆☆ V ; (準備中) Toku ☆☆

サンフォニ/ウェイン・マーシャル
SYMPHONIE / Wayne Marshall
Organ Works by Widor / Roger-Ducasse / Hakim / Dupré

Virgin (Classics) (UK) 7243 5 45320 2 3 - Rec: 1997-Oct

●こうしたシリアスな音楽を、マーシャルくらい楽々と弾きこなすオルガニストは 殆ど見当たらないのではなかろうか。とにかくうまい。うますぎるがゆえに ヴィドールなどは逆に退屈に思えてしまう。この録音の白眉はハキムの作品だろう。 恐らく作曲者本人を除き、ハキムの作品をこれだけ完璧にかつ魅力的に弾きこなせる人はいないのではなかろうか。 Fugetzu 1/2 V ; ●現役のオルガニストの中で、この種の音楽を弾かせたらこれほど壺にはまった演奏をする人は 他にいないのではないかとさえ思わせるほどの説得力ある音楽を聴かせる。ジャズ擬きの演奏よりも 本格的なクラシック作品をもっと弾いて欲しいと思う。彼はそれだけのキャパシティーを秘めている。   Toku 1/2 V  このCDを購入


16) いわゆる銘器 (歴史的オルガン)

フランソワ・ロベルデ: フーガ と キャプリス/ミシェル・シャピュイ (イル・シュル・ソルグ および マノスク)
François Roberday - Fugues et caprices
Michel Chapuis - l'Isle sur Sorgue & Manosque

Harmonia Mundi (F) HMO 30 530, (D) HMSO 530 530 (LP)
(廃)
;  (準備中) Toku ☆☆1/2


フレデリクスボーの歴史的オルガン/フランシス・シャプレ (Frederiksborg, Hillerød, Denmark [Esaias Compenius 1610, 1617])
l'Orgue Historique - Frederiksborg, Hillerød
Francis Chapelet

Harmonia Mundi (F) HMO 30.579, HM 579, ORYX (UK) 502, Odyssey (US) 32 16 0068(Stereo)/0067(Mono) (LP)
(廃)
●シャプレがHMに残した数々の歴史的楽器録音の中でも忘れがたい1枚がこれ。 コンペニウス・オルガンの良さは言うまでもないが、何といっても、 シャプレの快活でキレのよいスピード感とフレージングにより、音楽が瑞々しい生命力を得ている。Fugetzu ☆☆1/2 ;  ●ルネサンス期においてオルガン製作技術が飛躍的に発達した一つの証(あかし)とも言えるのがデンマークのフレデリクスボー城付属礼拝堂に現存する、 この「コンペニウス・オルガン」である。もともとドイツの貴族のために製作されたオルガンであって、当時の教会オルガンとは仕様・音色は大いに異なる。 シャプレの演奏も結局、この頃が一番充実していた時期か。 Toku ☆☆1/2 ('03.8.12 改)


バレアレスの歴史的オルガン/フランシス・シャプレ
Orgues historiques - Baleares: Palma de Mallorca / Francis Chapelet
Harmonia Mundi (F) 1901225

(準備中) Fugetzu ; ●17〜18世紀イベリアのオルガンは、強烈な水平トランペット管を初めとするソロ・ストップと Flautadoと呼ばれるごく穏やかなプリンシパル管とを対置することによって、独特の効果を発揮する。 仏ハルモニア・ムンディ最初期のシャピュレの録音は、上記コンペニウスの他に、スペインのコヴァルビアス、サラマンカなど 特筆すべきものであったが、いずれも永らく絶版状態である。CD化されたものはやや後の演奏が主体のようだが、 このアルバムに収められたパルマ(マジョルカ島)の2つのオルガンのうち一方では、華麗な水平トランペットなど 典型的なスペインのオルガンの響きを堪能できる。 Toku 1/2

ドゥ・グリニ: 5つの賛歌/アンドレ・イゾワール
Nicolas de Grigny - Les Cinq Hymnes / André Isoir
Calliope/Approche (F) 6912

●イゾワールのバロック演奏には、様式的な面で疑念を感じさせるが、この グリニーの賛歌は、サン=マクシマンのイスナール(改修前)の壮麗な音響を朗々と大振りに響かせたもので、或る種 壮大な浪漫すら感じさせる、作品の本質とはまるで違う方向で奏効したもの。 この楽器の響きを楽しむには持ってこいの1枚。Fugetzu ☆ ;  Toku

ハラルド・フォーゲル/ノルデンのシュニットガー・オルガン
Die Schnitger-Orgel in Norden / Harald Vogel
(Die Norddeutsche Orgelkunst II)

ORGANA (D) 004
(LP)
●フォーゲルが Organa に録れた録音には、北ドイツの 数々の素晴らしい歴史的楽器が聴けるが、彼の録音の中でも滋味に溢れ、力感に満ちた演奏美学が集約されている。 中でも、このノルデンでの録音は、彼の録音の中でもベストといえるもの。 この楽器の美しい音響で弾かれるブクステフーデの「暁の星」は、耳の至福そのもの。 Fugetzu ☆☆ ; Toku

ニューベリー・メモリアル・オルガン/トーマス・マレイ (イェール大学、ウールズィ・ホール)
Great Organbuilders of America: A Rretrospective (Volume 14)
Thomas Murray / Newberry Memorial Organ, Woolsey Hall,
Yale University, New Haven, Connecticut / 1929 Skinner Organ - Opus 722

JAV (USA) JAV 124 (2-CD set)

●(準備中) Fugetzu ☆☆ ('03.08.07) ; ●北米随一のシンフォニックオルガンである、イェール大学 ウールズィ・ホールのオルガン。アメリカが最も輝かしかった1920年代の終わり、大恐慌の前後に製作された。20世紀オルガン製作の頂点と言える。1枚目は、トーマス・マレーが音楽性豊かな即興演奏を主体に、解りやすい英語でこのオルガンの各ディヴィジョンや様々なストップを紹介する。素晴らしく魅力的なソロのリード管、輝きと芯のあるパワフルなアンサンブル。 録音はソロストップの個性的な音色や、重低音を担うペダルパイプの音が生々しいが、ホールの響きもとてもよく捉えられている。オーディオ・ファンの要求にも十分応えるものだろう。2枚目は、コンサートのライヴを収録したもの。レーガーやヒンデミットが、英文のみで72頁もある解説書は、写真も豊富で非常に充実したもの。 Toku ☆☆1/2


17) 協奏曲 など

プーランク: オルガン、弦楽アンサンブル、ティンパニーのための協奏曲/レオポルダス・ディグリス
Leopoldas Digris, Organ (F. Poulenc, G. Bovet, C. Franck)
Melodia (R) 33CM-03955-6 (LP)
(廃)
●何と冷徹な音楽だろうか!が、プーランクの印象。通常演奏される微温的な音楽 から特絶した、一分の暖かみも感じられぬ厳格緻密な表情と音色。だが、面白い ことに、だからこそこのプーランクの作品が明確にその存在意義を主張している。 怖いもの見たさ以上に、音楽的な観点から、数ある録音の中でディグリス盤を特筆したい。 ボヴェの作品も、この不思議な感覚に存立した演奏であるだけに、一切の洒脱なきところが面白い。 Fugetzu ☆☆ ; ●オルガン協奏曲として最もポピュラーなのはプーランクの作品だろう。協奏曲とは言っても 「オルガン、弦楽アンサンブル、ティンパニーのための」もので、ちょっと変わった編成。 録音は多いがこれは特異な1枚。プーランクの器楽曲は、軽妙洒脱、パリのエスプリといったイメージが一般的だが、 それとはおよそかけ離れて凍てつくような北方リトアニアの大地を彷彿とさせる。 ゾンデキス指揮のリトアニア室内とともに整然と鳴り響く音楽は見事。 余白にはフランクのコラール3番と、ディグリスに捧げられたギ・ボヴェの小協奏曲。このフランクも凄絶。 Toku ☆☆



18) Non-Classical


(1) 古典 (2) ロマン派・近代・戦後 (3) その他
01 イベリア古典
02 フランス:古典
03 北ドイツ古典
04 ブクステフーデ
05 大バッハ
05b 古典派
06 フランス:ロマン派
07 フランス:近代〜戦後
08 ドイツ・ロマン派〜近代
09 北欧:異端と正統?
10 イギリス:旋律と叙情
11 前衛とその後
12 トランスクリプション
13 即興の名手
14 フォックスのカリスマ
15 ヴィルトゥオーソの系譜
16 いわゆる銘器
17 協奏曲 など
18 Non-Classical

  Last updated: 2003. 11. 12 ... Compiled by Toku <cd100@orgel.com> .



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ホワイトキューブ・オルガンコンサート バーチャル・コンサート/MP3 オルガンの美術館
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